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遺伝子組換原料を含有している食品の「GMO(遺伝子組換食品)表示」を義務化するCODEX基準は地球上の食品の安全性を低下させることになる
キム・ニル
アメリカ大豆協会 バイオテクノロジー・技術問題部長
2001/05/09
バ イオテクノロジーを利用して開発された大豆やいくつかの穀物は、1996年に市場に紹介されたが、それ以来国際的論議の中心となっている。バイオテック作 物反対者達は、理論上不利な点があることに気づいている。OECD(経済協力開発機構)が、「実質的に同等」であると定義しているバイオテック農産物を含 有する食品の特別表示を要求する基準の草案をCODEX Alimentarius のCCFL(CODEX食品表示委員会)が検討するというようなレベルにまで論議は到達している。
この文書は、そのような思慮のないCODEX基準の結果生じると考えられる影響、既に分かっている、又は今後起こり得る栄養への悪影響について要約することを試みる。
バイオテクノロジー作物は食品安全性を高める
現在の農業生産実態を検討すると、新しいバイオテクノロジーの出現以前に生産された食品は、創造及び生産において、重大なリスクが内在していた事が明らかである。
国 連食糧農業機関(FAO)によると、世界の食品用穀類作物の25%は毎年マイコトキシン(mycotoxin)に汚染され、その結果1年に数百万トンの食 糧が損失している。1985年のマノンとジョンソンによる研究2でもこれと同様な結果が示されている。マイコトキシンは、いくつかの作物(主にコーン)に 発生するある種のカビにより自然に生産される一群の毒素(代謝物質)であり、人間がそれらを食べると癌を引き起こす可能性がある。マイコトキシン毒素の主 要なものはアフラトキシン(aflatoxin) B1であり、人間に対する発癌性が非常に強い物質として知られている。牛がアフラトキシンを摂取するとアフラトキシンはすぐにミルクの中に出現するため、 人はミルクからも穀物からもアフラトキシンを摂取する可能性がある。 1993年の世界銀行の"INVESTING IN HEALTH "という報告書によると、発展途上国の障害適応生活年数<disability-adjusted life years>(早死及び身体上の障害)の約40%は、マイコトキシン摂取に関連した病気(例、肝臓癌)により失われている。
バ イオテクノロジー利用により開発されたBtコーンは、農地にあるコーンのマイコトキシンの産出を大幅に低下させることが繰り返し証明されている。 コーンの植物内でアフラトキシンや他の関連のあるマイコトキシンを産出するある種のカビをコーン植物に運ぶ媒介昆虫は、Btコーンにより非常に良くコント ロールされる害虫(アワノメイガ/Ostrinia nubilalis)であるため、Bt コーンや他のBt作物には、「食品中のマイコトキシンを削減あるいは消滅させる」潜在能力がある。 世界保健機関のCODEX 食品安全プログラム代表は、「虫害を削減し、食品原料中のマイコトキシンの量を減らすBtコーン(メイズ)は世界の人々の肝臓癌削減に直接的影響を持つだ ろう」と言っている。
1999年のアイオワ州立大学の報告によると、1998 年にバイオテックのBtコーンを作付けした米国生産者の26%は、(従来のコーン品種と比較して、)殺虫剤使用量が低下した。 英国のレディング大学の研究者によると、北米の除草剤/殺虫剤の使用量がバイオテック大豆の生産では20%、バイオテック綿の生産では、80%減少した。 1999年のバイオテック作物作付けの増大により、世界の農業用殺虫剤の総売り上げがこの数10年間で初めて低下したと、農薬製造会社及び販売会社の雑誌 が報告している。 Btコーンにより成し遂げた害虫のコントロールは農薬の殺虫剤によるコントロールよりも非常に良いということを研究結果が示している。
同 様に、新しい除草剤耐性のバイオテック作物は、雑草コントロールを非常に効果的に行う。 例を挙げると、いくつかのバイオテックのカノーラ品種により、カノーラ(Brassica napus or Brassica campestris)と非常に関連のある毒草(例、ワイルド・マスタード/Brassica juncea)を、生産者は効果的にコントロールすることが初めて可能になった。除草剤耐性のカノーラは1996年にカナダで紹介されたが、それ以前にワ イルド・マスタードをコントロールするためにカナダの生産者が使用していた除草剤は、非常に近い関係にあるカノーラ植物にも害を及ぼしていた。ワイルド・ マスタード草の種子には自然に生じるグルコシノレイト(glucosinolate)という毒素があるため、もしカノーラ・ミールにかなりの量のその草の 種子が含まれている場合は、家畜飼料向けでもそのカノーラ・ミールの販売をカナダの法律は禁じている。
バ イオテクノロジーによる食品の安全性拡大のカテゴリーの最後の品目は、生分解性のある食品の包装である。製品の環境への悪い影響を最小限にするために、食 品の製造業者は食品を保護するために利用される包装の量を最小限にしようとしている。15 極端に言えば、環境を理由とした包装の削減は、プラスチック包装により現在保証されている食品の安全性を脅かすことにもなろう。堆肥となる(生分解でき る)大豆蛋白ベースのプラスチック包装は双方の懸念を解決するために開発された。そしてそれの食品安全性パーフォマンスは今後のバイオテクノロジーによる 開発によりさらに高められるだろう。
実質的に同等な商品に対し「GMO表示」を食品に義務づけるというCODEX基準は、バイオテック作物の利用を減少させる。それにより食品供給の安全性を減少させることになる。
今 後登場する「付加価値のある」バイオテック作物(実質的に同等でない)は、従来の作物と成分、栄養において異なるため、表示されることになる。 一方、実質的に同等なバイオテック商品の義務表示により、現在出回っている実質的に同等な(上記に述べたように従来のものより安全である)バイオテック作 物の消費減少を引き起こすことが既に実証されている。
ヨーロッパがGMO食品 の義務表示を制定して以来、食品の小売業者や食品製造業者は、その問題とされる(実質的に同等な)バイオテック作物原料を含有する製品の使用を減らした。 例を挙げると、イギリスで3番目に大きい食品小売りチェーン(Iceland Plc)は、自社ブランドの食品分野から「すべての大豆を排除」した。ヨーロッパで3番目に大きい小売業者のグループ・ダノン(Group Danone SA)は、ヨーロッパで販売する彼らのすべての製品から「GMO原料を追放」した。英国の2大食品小売業者とマクドナルドの子会社(ヨーロッパの7カ国に ある)は、彼らの販売する肉製品には遺伝子組換原料が家畜飼料として使わていないと言明した。
日本政府によるGMO表示法(2001年4月1日より施行)に関する議論・作成が行われ始めてから、日本においても同様に、大幅な減少が見られた。 例えば、日本最大の大豆蛋白製品メーカーと3大ビール会社は遺伝子組換原料を使用しないことを発表した。
食 品にバイオテック情報を付けることに関する食品製造業者の不安が静まることが期待されるかもしれないが、これまでのところそのような希望の光が見える兆し はない。バイオテック反対論者がバイオテック作物の安全性に関し消費者に不安を掻き立てるようなことをし続ける限り、食品製造業者は成分原料を替えたり、 あるいはバイオテックでない原料を求めることにより、バイオテック表示を避けたいと望み続けるであろう。GMO食品を義務表示するというCODEX基準に より、食品製造業者や消費者は、安全性の低いものを選択するようになり、食品安全性の観点からはずれた結果となるだろう。これは食品の安全性改善という CODEXの目標に反することになろう。
「バイオテック表示」義務化の基準を 採用することは、製造業者や消費者を安全性の低い選択肢に導くばかりでなく、消費者コストを増大させることにもなる。商取り引きの主流となっている(自然 に混ざり合っている)作物からバイオテックでない作物を分別することは、非実践的で、費用が掛かる。 例えば、カナダの食品業界が最近行ったある調査によると、分別取り扱いや表示だけで、カナダの食品の小売価格は9-10%上がると見積もってる。この見積 もりには、避け難い誤表示による商品回収(年に100件以上予想される)費用は含まれていない。 ECの出資で行われた同様な研究においても、ヨーロッパの食品の小売りコストは6-17%増加するとの予測がなされた。
「GMO食品表示」を義務化するCODEX基準は食品のさらに大きな安全性促進という特質を持っているバイオテック作物の開発を遅らせる、あるいは停止させることになる
定 期刊行物「Meat Processing」の2001年1月号によると、「肉業界が直面している大きな挑戦とはO-157のような病原性微生物のコントロールを達成すること である。」(この微生物は牛や他の動物の消化器官内に生息することが出来る。) このレポートは1990年代に米国のすべての屠場で最新技術のHACCPが導入されるようになったのに引き続く米国肉業界の状況を表わしている。肉に抗生 物質が残留することは法律で規制されており、また抗生物質に対する抵抗性を持つ病原菌に対する関心が高まっているため、屠殺の前の段階で家畜に抗生物質を 使用することは実践的でない。
2001年1月、ある農業バイオテクノロジー会 社とEPIcyte Pharmaceutical Inc.は、病気予防への利用を…家畜から作られる食品の安全な供給…を目的として、植物中にmonoclonal抗体を作る開発及び生産するための、研 究とライセンス契約に調印した。 業界参加者との談話により、このパートナーシップの目的の1つはO-157のような肉骨関連の病原体に対する抗体を含有する植物を遺伝子工学による開発で あることが確認された。 抗体を給与することにより、生きている動物の消化器官からすべての病原性のあるE-coliを取り除くという考え方は、卵白にある抗体を哺乳小豚に(彼ら の消化器官が発達する前に)給与という形で、以前立証されている。44 しかしながら、成熟した家畜の場合(例、屠殺前2日間)は、病原菌(O-157)が家畜の腸に到達する前に彼らの消化器官が抗体を破壊してしまうので、そ のような卵白の抗体を与えるのは適していない。
牛の腸に到達後も消化されない で留まるように設計されている大豆ベースの飼料は、以前から市場に出回っている。もし、今後食品の「GMO義務表示」の脅威により(例えばGMO表示がバ イオテック飼料を給与された家畜からの肉を含む…という広い範囲を包括という恐れで、ある国では既にこれに関し議論がなされているが)妨げられなければ、 農業バイオテック会社は、E-coli O-157のような肉骨関連の病気が発生しないようにする、屠殺前の家畜に給与可能なバイオテック抗体含有大豆を開発するであろう。
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